「なん、で……っ」
「えっ……?」
「なんで渚が謝るの……っ」
「え、なんでって……」
未だポロポロと流れ続ける涙を拭いながらも、眉を下げて、口をツンと尖らせるむぎ。
これは……もしかして、もしかしなくとも。
「怒って、る……?」
え、なんで……。
「そう、だよ……っ、だって渚、自分がやりすぎたとかそう思ってるんでしょ……?」
「だって、現に俺、むぎの声が届かないくらい、夢中になって……」
「そんなの私もそうだよ」
「え?」
顔も、目まで真っ赤にしながらもでもまっすぐ目を見てくれるむぎにドクンと心臓が音をたてた。
「さっき、渚の顔が見たいって言ったのは、その……直接目を見て、好きって言いたかったし、き、キスしたかったからで、」
「……」
「怖くなったとか、さわられるのが嫌になって、とまってほしくて言ったわけじゃなくて、」
「……」
「つまり、その……、」
「う、ん……」
右に左に、えっと、えっとと、視線を外したあと。
「……くて、」
「え?」
「っ〜だから!
気持ちよくておかしくなりそうだったから、声かけただけだって、言ってるの!」
はずかしいこと、何度も言わせないでよ!
そう言ってバフンと勢いよく枕に顔を埋めてしまった彼女に、ポカンとなる。
え……は、
は?つまり?
俺にふれられるのが怖くなったから、俺を呼んだんじゃなくて、
「気持ちよすぎて、怖かったってこと……?」