ぼーっとする。
渚のことしか考えられない。
水音と、渚の甘い声と。
もう聞こえるのはそれだけで。
毒が、回ってるみたいだ。
「はぁ……たまんない」
っ、これは……っ。
「俺の……俺の、もっと、」
ちょっと、まって……っ。
「せん、ぱ……いっ」
意識、が……っ。
頭も体も、もうずっと高熱が出たときみたいな状態で。
「もっと、感じて」
なに、これ……っ。
お腹の奥がジンジンして、ぎゅうっと体に力が入って。
や、やだ……っ。
グッとなにかが体の奥底から込み上げてきそうになって、感じたことない感覚に、また涙があふれる。
「せん、ぱ……っ」
「好きだよ、むぎ。大好き」
「う、あっ……」
「むぎも言って?」
「んっ、ふっ……な、ぎ、」
「キスも……おはようのキスも、して」
「なぎ、さ……せん、ぱい」
「……」
聞こえて……ないっ……。