大学時代の友人の、華々しい結婚式。

 その二次会を終え、僕はジョッキを片手にヘラッと笑う彼女とひっそり、二人きりの三次会を嗜んでいた。

「飲み足りない」
「でもなんか、大勢でって感じじゃないんだよね」
「もっとこう……大衆居酒屋とかでしっぽり飲みたくない?」

 淡い水色のドレスとは不釣り合いな誘いに、僕は「仕方ないな」とついていったわけだ。

 二人でサークル仲間の誘いを断り、抜け出すシチュエーションは不覚にも高揚したけれど、僕はそれをうまく隠した。

 嘘は苦手だけど、こういった隠し事は昔から得意だった。

 ただ、不意打ちにはやはり弱い。


 ───「付き合うことになると思ってた」


 どこから出てきた。何がきっかけだった。さっきまで式の話題で持ちきりだったじゃないか。

 新婦のヒールって高すぎ。私だったら、ドレスにひっかけて破いちゃうよ。なんて、他愛もない話を肴に〝しっぽり〟浸っていたじゃないか。

「……なんだよ、いきなり」

 急に話を転換させる癖は、四年前……学生時代から変わっていないらしい。

 僕はパールが光るその首元に、眉を顰めた。