なんでだろう、橘くんと話してるとこを思い出すとドキドキする。
大好きな作家さんの本が手元にあるのにそれすらもできない。

そんなこんなで、授業で指されたときに答えられなかったり、といつもはないミスが多発している。それを見かねた絢音(あやね)が覗き込みながら

玲菜(れな)どうしたの、今日ずっとぼーとしてる。なにかあった?」
これは打ち明けてもいい悩みだろうか。ただ冷やかされるだけで終わらないかな。
「あの、さ、橘くんのことどう思う?」
去年、絢音は橘くんと同じクラスだった気がする。

「あぁ、橘?うぅん、近寄りがたい男子。橘がどうしたの?」

「いや、今日の朝早くて少し喋ってたんだけど、すっごい普通に話せたんだよね」