朝、5:00に起きて、6:00に家を出て学校に行く。家から学校までは1時間だから、学校につくのは7:00くらい。

別に学校が好きなわけでも、勉強が好きなわけではない。ただ、家に居たくない。


わがままな妹、空気を読まない父親、土足で人の事情に踏み込んでくる母親、機嫌の差が激しく、すぐ変わる姉。

自意識過剰かもしれないけれど、私がそれぞれに気を使わないとこの家は一瞬で荒れ地だ。

私ばかりが気を使うのは、勘弁だ。
朝くらい、元気に始まりたいから、始業の時間の2時間前に家を出る。家族には勉強したいと言って、説得させている。

ほとんどの時間を読書に費やしているから、成績は伸びないのだけれども。

7:30。ガチャッ すたっ すたっ
この時間の常連、藤堂くんかな。

あれ?藤堂くんの席とは違う方から足音がする。誰だろう?
ちらっと見たら、学年でいちばん有名な橘恭弥(たちばなきょうや)くんだった。

「松本さん、今話してもいい?」
私と話す気...??あの(・・)橘くんが?

「他の人が来るまでなら?」
朝のHRが始まるまでは、私語は厳禁。

「松本さんっていつもこの時間に来てるの?はやくね?」
あぁ、そういうこと。自習時間をたくさん取っているのになんで成績が伸びないのか茶化しに来たのか。きっと、そう思う私は卑屈だ。

本を読んで、勉強してないアピールするか。
「そうだよ、ずっと本読んでるけどね。」


「へぇ〜松本さん、休み時間とかだいたい本読んでない?どんな本読んでるの?」
え?そこ?てか、なんで知ってるの。私なんて目立つようなキャラじゃないのに。

「普通の小説だよ?ミステリーとか恋愛のとか。橘くんは?」
「俺はあんまり本読まないな〜。てか、これからこの時間に来ていい?」
なにかやることでもあるのかな。

「別にいいけど。どうしt」ガチャッ
他の人が来てしまった。また今度聞くか。