ひらめきに納得して、早速カバンのチャックに手をかける。
ピッと引っ張って、中から筆記用具を取り出そうとしたときだった。
――バン!
「……っ!?」
図書室のドアが、ひどく乱暴な音で開いた。
そちらに向かって目を見開いて、わたしはさらに目をむく。
ドアから入ってきたのは、クラスメートの矢崎さんだった。
本を十冊近く抱え、なにやら不機嫌そうな顔をしている。
「あーマジおっも!」
大きな声とともに、カウンターに本をおろす矢崎さん。
「図書委員の人ー!これ、阿形先生から渡すように言われたんですけど」
「あ……はあ……」
「なんか、教室に漫画持ち込んだ罰で持っていけって言われてー。マジ人遣い荒い」
初対面であろう図書委員の先輩に、愚痴を垂れる矢崎さん。
ひ、と思ったそのとき、矢崎さんの頭がグルンと、勢いよくこっちに回った。
目が、合った。くっきりした猫目から発される強い眼力が、わたしを射抜く。
射抜かれるどころか、銃で撃たれたくらいの衝撃だった。
頭の中はもうパニックで、玉突き事故が相次いだような状態で。
クラスメートなのだから、会釈くらいすればいい。なのにわたしはあろうことか、明らかに不自然な動作で目をそらしてしまった。
「……っ」
やばい、と思った。今のはすごく嫌な感じだ。
ものすごく焦って、でも今さらどうすることもできないでいると。