なんでも、図書室は夜間生も利用していいことになっているから、夕方になっても施錠されないみたいで。

自分が仕事を終えて図書室に直行すれば、夜間の授業がはじまるまでの間、話す練習ができる……って。雨夜くんはそう、考えてくれたらしい。


『学校終わってから待たせちゃうのが申し訳ないけど……できるだけ、早く行くから』


そんな雨夜くんの心地よい声が、たしかに耳に残っている。

残っている……ということは、記憶違いでなければ、わたしは雨夜くんに、今日も会うことになっているんだ。


「はあ……」


いろんな思いで胸がいっぱいになり、息をこぼす。わたしはほおに手を当てて、そのままズリ、と目を隠すようにすべらせた。