口を両手でおおい、背中を丸める。


苦しい、苦しい。上手に呼吸ができない。

できない。できない。だめなんだ。わたし。

全然上手に、生きられない。


「大丈夫!?」


目を見開き、わたしのそばにしゃがむ雨夜くん。

涙が、ぼろぼろとあふれ出した。生理的なもの。そして、自己嫌悪による涙だ。


「ひ……っ、は……っ」


……最悪、だ。

荒くはやい呼吸を繰り返し、わたしは自分のふがいなさにうちひしがれた。


ああ、今すぐ消えてしまいたい。もうわたし、いったいどこまでひどければ気が済むんだろう。

最低最悪な結末だ。顔を見られただけじゃなく、こんな場面まで見られてしまった。


「……とりあえず、保健室行こう。おぶってもいい? つかまれる?」


こんなドン引きの状況を目の当たりにさせられてなお、親切な言葉をかけてくれる雨夜くん。

顔向けできない思いに駆られながら、わたしは懸命に、ふるふると首を横に振る。


「……め、なさい……っ」


荒ぶる息の合間。必死に、言葉をしぼり出す。


「ごめ、なさ……っ、わた、し……ごめ……っ」

「……え?」

「が……っ、かり、させて……ごめ、なさ……っ」


ただひたすらに述べる謝罪も、息絶え絶え。

そんなわたしをさらに追い詰めるように、階段のほうで明るい声が響いた。


「結構売れ行きよかったよねー! 原価安いのに」

「……っ!」