そこでわたしは、目玉が落ちてしまうくらいに、目を見開いた。


「……っ」


……びっ、くり。

もう……びっくりするくらい、大人びたかっこいい男の子が、そこにいた。


目の上で綺麗に流された、さわやかな黒髪。

その下には、二重にふちどられた、知的さと柔和さを兼ね備えた目。

スッと伸びた鼻筋と、バランスの良い位置にあるくちびる。

肌は陶器のようにきめ細やかで、それぞれが完璧なパーツたちを、さらに完璧な印象に押し上げている。


一般人じゃないと言われたほうが納得するくらいの、人だった。

衝撃で、うつむいて顔を隠すことすら、忘れてしまうくらい。


「おー!さっすがジェントルマーン!」


後方から声が飛んできて、口を開けたまま振り返る。

そこにいたのは、金髪の男の子。さっき大声を上げたのは、どうやらこの人のようだ。

見事な金色のおかげでハッと我に返ったわたしは、大急ぎで顔を伏せる。


ど……どうしよう……!?

ドックドックと、心臓が破裂せんばかりの音を立てている。


緊急事態、緊急事態。頭に鳴り響く、大音量のサイレン。

そしてわたしは、さらに窮地に立たされる。


「なあなあ、全日制の子だよなー?一年生?」


金髪の男の子が、質問しながらこちらに近づいてきたのだ。


「……っ!」