「うーん……」


眉根を寄せて、しばらく床をにらんで考えた。

その結果、わたしはのそりと、朝以降ずっとお世話になっていたフェイスタオルからお尻を上げた。


体育館横の自販機に、行こうと思った。

あの自販機ではたしか、お汁粉が販売されていたはずだ。だれが飲むんだよこれ、とクラスメートがぼやいていたのを、聞いたことがある。


お汁粉なら、お腹がふくれるし喉もうるおう。

体育館は北館の隣だし、サッと買って帰ってこれば一瞬だ。だれかに見られることもないはず。

安全を確保できる場所から離れるのは怖いけれど、午前中をおだやかに過ごせたという事実が、臆病なわたしの背中を押してくれた。


大丈夫、と気合いを入れて、空き教室をあとにする。

そろそろと階段を降りて北館を出たとたん、ビュッと新鮮な風に顔を撫でられ、一瞬足がすくんだ。