【永田さんの最近のおすすめ本は、なに?】


雨夜くんにそうたずねられたとき、たくさん悩んで、この本をおすすめした。

読んでみる、と返してくれた雨夜くん。

雨夜くんからもらった文が、ほかにもたくさん頭に浮かびそうになって、あわてて手のひらに爪を立てる。


がっかりされることが、怖い。

そんな自分勝手な理由で、わたしはあれ以来、机にノートを入れることをやめたままだ。

雨夜くんも今日、文化祭に参加している。校舎内のどこかにいると思うと、気持ちがすごく落ち着かない。


雨夜くんとの交換日記がなくなってしまった日々は、とてつもなくさみしい。

ぽっかり穴があいてしまったみたい。

楽しい嬉しいという感情が、自分の中からすっぽ抜けてなくなってしまったみたいだ。


でも、わたしに雨夜くんのことを考える資格なんてない。

未練なんて持っちゃいけない。やり取りをやめてしまったのは、わたしのほうなんだから。

勝手にやめて、勝手に未練を持つなんて……一番、最低最悪だ。