わたしが雨夜くんの力になりたいと思っているのは、正真正銘の気持ちだ。

けっしてウソなんかじゃない。だけど強引にでも会いに行けないのは、雨夜くんが嫌がるからという理由だけじゃないんだ。


拒否されることを、恐れているから。

自分が……嫌われたくないからだ。


「……温美」


その気持ちも全部吐露したわたしを、もう一度抱きしめて、お母さんは言う。


「お節介とかお説教とか……そういうものはね、相手にとって嫌がられるかもしれない。でもその行動がね、本当に相手を思ってのことなら……きっと伝わるよ」

「……うん」

「もし伝わらなくても……なにも行動しないより、温美の中に後悔はないと思うよ」

「うん……」

「お母さん……温美のことが、大好きよ」

「~うん……っ」


そもそも人と関わらなければ。フタをしてしまえば。見ないふりをすれば。

そのときは楽だ。傷つくことはない。


でも嫌われたとしても、雨夜くんのことだけは諦めたくない。

たとえ深く傷ついても、雨夜くんの力になることは……やめたくない。


パチリと。欠けていたパズルのピースがはまったように、頭と心が整った。

何年かぶりの感覚だった。