高トーンの弾丸トークを浴びせられ、面食らったわたしは、目をパチパチしばたかせてしまう。
でもあっけに取られている場合じゃない。せっかく明山くんに会えたんだ。
雨夜くんが元気かどうか、それだけでも聞くことができたら……。
「つか、ちょうどよかった!涼のこと心配しててさ」
けれど、よし、と口を開きかけたとき。明山くんの口が先に、雨夜くんの名前を出した。
「え……」
「何も言わずにいきなり休学とかさー。先生に聞いても、個人情報だっつーし。永田さんなら理由知ってるー?」
……きゅう、がく?
明山くんが発した言葉に、目の前が真っ暗になった。
休学?届けを出して、学校を休んでるってこと?
そんなの知らない。知らなかった。
雨夜くんは、図書室に来なかっただけじゃなかった。
学校そのものに、来ていなかったんだ。
「おーい? 永田さーん?」
「あ……あの……し、知らなくて……」
「えー?そうなんだ。マジどうしたんだろうな、アイツ……って、ヤバッ!」
そのタイミングで予鈴が鳴り、明山くんが肩を跳ね上げた。
「なにか持って帰んねーと……あーもー、このオススメの棚にあるやつでいっか! じゃあね、永田さん!」
一瞬だけ図書室に入って、一冊の本をさらっていった明山くん。
彼がいなくなってからも、わたしはしばらく、その場を動くことができなかった。