いやだ。すぐにでも立ち上がりたい。

どうしよう。助けて、雨夜くんーー。


「……っ!」


彼の名前を心で呼んで、そんな自分に愕然とした。


強くなりたい。雨夜くんを幸せにしたい。

海でそんな思いを抱いたくせに、わたしは幸せにするどころか、自分の不安定な思いを雨夜くんに押し付けようとしていた。


いつもいつも、雨夜くんに頼って。いつもいつも、助けてもらって。

利用していた……なんて。そんなの、もらってばかりのわたしのほうだ。


わたしが今まで、雨夜くんになにかしてあげられたことなんてあった?

ねえ、どうやったら強くなれるの?


そんな問いかけを自分にしてみても、浮かんでくる答えなんてない。