この日も予鈴ギリギリまで図書室でねばって待ったけれど、雨夜くんが姿を現わすことはなくて。
待つのを繰り返すことしかできないまま、数日が経過した。
「今日は突然だが、席替えをする」
帰りのSHR。阿形先生が教卓のところに立って、突然そう宣言した。
先生の手には、折りたたまれたクジが入った袋。生徒側から、ヒューウ!と浮かれた音が飛ぶ。
「つか、阿形先生ー! なんでこんな中途半端な時期なんすか」
「いや、一学期中に一度はと思っていたが、すっかり忘れていてな。すべり込みだ」
「おっしゃ!俺次、絶対後ろがいい!」
「えー……せっかく近いのに離れちゃうねー」
多様な発言で教室内がにぎやかになる中、わたしはひとりショックを受けていた。
席替えって……もうこの席じゃなくなってしまうんだ。
この席は今や、わたしが雨夜くんとつながれる、ゆいいつのものなのに。