そうしてぐるぐる考えているうちに、時計の針は午後五時を回った。
雨夜くんの仕事が終わる時間。壁時計から視線を下げ、わたしは力なく肩を落とした。
『俺は、母親のことを許せてない』
わたしと雨夜くんは、同じだった。
わたしは美和に対して。雨夜くんはお母さんに対して。
黒い気持ちに延々と苦しみ、過去をずっと引きずってきたんだ。
そのつらさがわかるからこそ、とても歯がゆい。
やりきれない。力になりたい。
なのに方法がわからない。そして、そんなことは望まれていない。
そもそもわたしは、自分のこともーー美和についての気持ちを整理することも、全然できていないんだ。
「は……」
ひとりの空間に落ちる、今日何度目かのため息。
わたしは、どうしたらいいんだろう……?