「それで極めつけに、中学時代の友達から、楽しそうなメッセージが届くんだ。高校生活を満喫している内容ばっかり。羨ましくて、妬ましくて……そんな自分に、愕然とした」
「……っ」
「雨夜みたいになりたいって言ってきたヤツらを、俺は羨んでる。アイツらはアイツらで、夜間に行った俺のことを、憐れんで見限ってる。夜間に行って……数日で気づいた。俺はもう、二度と完璧になれることはないんだって」
完璧でいること。それが、お母さんに捨てられたトラウマから、自分を守る手段だった。
その手段を奪われて、雨夜くんは……。
「ずっと完璧でいることで自己肯定感を保ってたから……気持ちがすごく、不安定になってた。そんなとき……机の中に、永田さんのノートを見つけたんだ」
「……!」
自分の名前が出てきて、目を見開く。
……そうだ。負の感情吐き出しノート。
【過去なんて、消してしまいたい】
【いじめられる前に戻りたい】
【わたしはブスで、欠陥品だ】
そんなマイナスな言葉ばかり書きなぐったノートを、わたしはうっかり忘れて帰ってしまって。
それを……その日の夜に、雨夜くんが見つけた。