心が悲鳴を、上げ続けている。
こんな毎日を繰り返していたら、きっと精神がくるってしまう。
できるだけ、気をまぎらわさないと。
だから期末テストがこのタイミングでやって来てくれたことは、わたしにとって救いのようなものだった。
勉強しなきゃという焦りは、ほんの少しだけれど、美和に傾き続ける気持ちの分量を減らしてくれた。
それから、なによりの精神安定剤になったのは、やっぱり雨夜くんで。
「永田さん、お疲れさま」
あれから雨夜くんは、いつも通り毎日図書室に来て。何事もなかったかのように振る舞ってくれた。
変に気を使わずにいてくれる。
美和に関する話題を一切出さないで、楽しい空間だけを作ってくれる。
恨みがましい黒い気持ちを持っていたこと、幻滅されても仕方がないのに。
しかも美和は、雨夜くんにとって夜間のクラスメートなわけで。
雨夜くんこそ混乱の気持ちがあるだろうに……本当に、人間ができすぎている。
それから、まだもうひとつ。矢崎さんたちの存在も、すごくありがたかったんだ。
球技大会以降、矢崎さんや相河さんとはちらほらと話すようになって。
そのうちにふたりはどうやら、わたしのことを〝コミュ障を頑張って克服しようとしているキャラ〟みたいに認識してくれたようで、なぜか可愛がってくれるようになった。