「は……っ」


くちびるから、ふるえる息がこぼれた。

背中が寒くなって、指先もカタカタとふるえだす。自分ではどうにも、制御できない。


まさか美和が、常和の夜間に通っていたなんて。

どういう事情で夜間に? ううん、そんなのどうでもいい。知りたくない。


美和が、同じ教室を使っていたなんて。

わたしはなにも知らずに、美和と同じ校門をくぐっていた。

文化祭、わたしが空き教室で息をひそめているときには、美和はすぐそばの本館にいたのかもしれない。


「……っ」


……本当に、なんてことだろう。