中学のときに親友だった女の子。

その子の名前は、天川美和(あまかわみわ)だ。


最初に話したのは、入学式の翌日。

会話のきっかけは、まったく同じシャーペンを持っていたことだった。


『それってもしかして、マルイヤで買ったやつ?』


美和からそう、声をかけてきてくれて。

入学したばかりですごく緊張していたから、本当に嬉しかったのをよく覚えている。


次の日、また次の日。わたしたちの距離は、急速に縮まっていった。

お互い母子家庭だと判明したのが、けっこう大きかったかもしれない。


仲間意識から、あっという間に唯一無二の存在になって。

家のことも成績のことも、包み隠さずなんでも話した。


二年に上がっても、わたしたちは同じクラスで。運命だなんてはしゃいで、常に一緒に過ごしていた。

ほかのクラスメートたちともほどよい関係を築けていたし、当時のわたしは、おだやかで充実した学校生活を送れていたと思う。


けれど……世界は突然、ひっくり返った。

クラスのリーダー格の女の子の悪口を、陰で言っている。

美和がわたしに関して、そんなウソを吹聴したから。