同じ空間だというのに、平日と休日の車内は、まるでべつの場所みたいだ。
平日はスーツや制服ばかりがひしめいているけれど、休日はカラフルな洋服が目立つ。
それから、乗車率にずいぶんゆとりがある。
こうして、座席を確保できるくらいに。
ーーガタンゴトン、ガタンゴトン。
週末の日曜日。わたしはひとり、ソワソワしながら電車に揺られていた。
身にまとっているのは、白Tシャツとチノパンという、運動に適したラフな格好。
向かっているのは、雨夜くんの家の最寄り駅。
わたしはこれから、雨夜くんにバスケを教えてもらえることになっている。
『あ、あの……ひとつお願いが……!』
先日。わたしは図書館で、雨夜くんにバスケのコツを教えてくれないかと頼んだ。
球技大会の種目が不得意なバスケになってしまって、どうか練習法を伝授してほしいと。
でもそれはあくまでも、図書室内で……というつもりだったのだけれど。