×月×日
「お父様、入ってもよろしいですか?」
執務室といえる程、立派なものではない。 どちらかというと書斎といった方がいい。
いつも夜遅くまでお父様はこうして仕事をしている。
それは私が幼い頃から変わらず、決して邪魔してはいけませんよとお母様に何度も叱られた思い出がよみがえる。
「リリィか、入りなさい」
室内にいるお父様からの許可を受け、静かにドアを開く。
ここには子供が読めるような書物はなく、理解など全くできない難しい物ばかりだというのに、私はこっそり忍び込んで適当に一冊を取り出しては眺めていた。
何を書かれているのかも、どう理解すればいいのかもわからず、終いにはそこで寝てしまった事さえある。
そんな私を見つけたお父様は叱りも起こしもせず、ただ抱き上げて子供部屋へと寝かしに連れて行ってくれた。
本当は目が覚めているのに、お父様の腕の中が温かく心地良くて寝た振りをしたものだ。
そんな思い出も今では遠い昔。
もう二度と戻る事のない、幸せだった時間。
「お父様、入ってもよろしいですか?」
執務室といえる程、立派なものではない。 どちらかというと書斎といった方がいい。
いつも夜遅くまでお父様はこうして仕事をしている。
それは私が幼い頃から変わらず、決して邪魔してはいけませんよとお母様に何度も叱られた思い出がよみがえる。
「リリィか、入りなさい」
室内にいるお父様からの許可を受け、静かにドアを開く。
ここには子供が読めるような書物はなく、理解など全くできない難しい物ばかりだというのに、私はこっそり忍び込んで適当に一冊を取り出しては眺めていた。
何を書かれているのかも、どう理解すればいいのかもわからず、終いにはそこで寝てしまった事さえある。
そんな私を見つけたお父様は叱りも起こしもせず、ただ抱き上げて子供部屋へと寝かしに連れて行ってくれた。
本当は目が覚めているのに、お父様の腕の中が温かく心地良くて寝た振りをしたものだ。
そんな思い出も今では遠い昔。
もう二度と戻る事のない、幸せだった時間。