×月×日

「滅多な事を言うものではない」

 それは窘める執事の声。

「ですが、我慢できません!」

「そうです。 ロナウド様が望まれていらっしゃるのはロージー様のはずです。 それなのにリリィ様が……」

(……え?)

「リリィ様の、まるで婚約者気取りの態度ったら本当に腹が立つわ」

 女中達の声だ。

(どういう事……?)

「あのままリリィ様が目覚めなければ、今頃はロージー様とロナウド様はご結婚なさっていたのに!」