そんな話をしている内にシモンズ家の邸に着いた。

「ジェイはこちらには何度か来た事がありますの?」

「実は、ここの使用人にあまり好かれていなくてね。 歓迎されないのがわかっているから気にはしていないよ」

 ロナウドの友人が平民のような野蛮さを持ち合わせた風貌でも、それなりの態度で迎えるのは当然。 なのにそれでも彼らが見下すのは、やはりこの貴族らしからぬ雰囲気が気に入らないからなのかもしれない。

 私は使用人が出迎える態度を想像して、あえて玄関ではなく、庭へと廻った。

 以前のような綺麗な薔薇も何もないが、テラスで飲むお茶は居間で一人飲むよりずっと気が晴れる。