「わかっているわ。 少し控えないと、家族が増えるのだものね」

「家族って、侍女の相手の事かい?」

「あら、今は私達の話をしているのよ?」

「それって……」

「両陛下も喜んで下さるかしら?」

「もちろんだ! そうか……そうなのか。 さっそくホワイト家にも文を出そうじゃないか」

「ジェイムズなら、きっとそう言ってくれると思ったわ」

 ジェイは嬉しさのあまり、揺れる馬車をさらに揺れさせる失態をするところだった。
 跳び跳ねてバランスを崩し掛けたのだ。

 城を抜け出して城下に繰り出す私について来たジェイが馬車の中で知らされた吉報は城に着くなり、国王陛下以下、城内の皆が知る事になり、そして国中の話題となった。

 きっと来年の今頃は、お母様がそうしてくれたように私も愛情いっぱいで包んでいるだろう。
 幸せと喜びと感謝もプラスして。

「ジェイムズ、幸せ?」

「あぁ、もちろん幸せに決まっているさ」

「私も幸せだわ」

「これからは君と俺と、新たに増える家族との幸せな日記になるんだろう?」

「もちろんよ。 でも誰にも教えてあげないわ。 これは私達だけの秘密だもの」