「ーーーは〜、良かった。焦った」 私の頭の上から、心からホッとしたような声。 私は当然フリーズだ。 良い香りと、抱きしめられるという状況に、クラクラする。 ーヤバい、召されてしまう。 開放してもらおうと口を開く直前、彼が言葉を紡いだ。 「村井さん、俺…嫌だ」 「なっ、何が?えっと、この状況…」 私が話し出そうとすると、彼はギュッと抱きしめる力を強くした。 「俺、村井さんを誰かに取られるの、嫌だ」 「え…?」