「わ…私、も、…で….」
「え?ごめん、よく聞こえない。
断るのはダメだよ、OKじゃないと」
決死の覚悟で発した声は、掠れて音にならなくて。
断られると思ったのか、彼が強く言った。
私は慌てて叫ぶように言った。
「私も好きです‼︎ずっと前から‼︎」
「……え?」
驚きで、少し緩んだ腕から抜け出して立ち上がると、私は彼の方に向き直った。
今は、どんな顔でも恥ずかしがってはいけない。
謎の使命感で、私は彼の眸を見つめた。
「だから、好きだって言ってるの!
ずっと前からっ」
あまりに力を入れたので、ひとつ大きく息をついて、私は言葉を繋げた。
「私は年上だし、どう足掻いても美人じゃないし、仕事は、まぁそれなりに自信はあるけど、貴方に思われる筈ないって諦めてたの!
でも…私を望んでくれるなら、よろこんで…」
ーーー最後まで言えなかった。
途中で腕を引かれて、彼の胸に閉じ込められる。
すぐさま頬に手のひらが添えられ、上を向かせられると、奪うように唇を塞がれた。
いつもクールで、表情もあまり変わらない彼の、驚くほど情熱的なキスに、頭の芯が溶けるような感覚を覚える。
それは、きっと不安からで。
どれだけ私を想って、望んでるのか、訴えるような激しさで。
私は、彼の気が済むまで受け入れ続ける。
大丈夫だと、わからせるために。