結局、私がぼーっとしている間に萌花に逃げられてしまったのだけど。
はっきりさせたいけど、イブの隠したいことを無理矢理暴きたい訳じゃない。人に言いたく無い事なんて、きっと誰にでもあるだろうし。
「ねえ、今日お弁当さ、中庭で食べようよ!!」
紗央の言葉に3人で席を立った。
寒いけど、お日様は出ていて天気は良いし、気持ちもよさそうだかと思っていたけど。すぐに紗央の思惑を知ることとなる。
「あ、あれ~。誠くんっ!誠くんもここでご飯?」
「おー」
中庭の芝生ゾーンには先客がいて、紗央の彼氏とその友達が座ってお昼を広げていた。
絶体、話合わせてたんじゃん。紗央に顔を向けるとペロリと舌を出して、あかりに助けを求めれば肩をポンポンと叩かれた。
「芽生ちゃん、一緒に食べていい?」
私の事を可愛いと言ってくれてるという、尚輝先輩。
短かめで明るく染められた髪、1つ年上なのに無邪気な笑顔は少し眩しく見えた。