「ふぁ……」
我慢してても欠伸が止まらなくて、口元へ手を当てる。
「芽生ちゃん、凄い欠伸」
クスクスと笑う萌花ちゃん。今日も愛らしい姿をしている。
本日は"にゃんこの日"らしく、ネクタイにチェックのミニスカートというアイドルみたいな制服に猫耳とシッポをつける事になっていて。萌花ちゃんは完全に着こなして似合っている。
もちろん、私も恥ずかしいそんな格好をしているんだけど、大丈夫かな?自分の姿に心配になってきた。
「あら、芽生ちゃん。来てくれて良かった」
「て、店長!よろしくお願いします!」
「もしかしたら来ないんじゃないかって思っていたから、ふふふ」
なんて店長がくねりと腰を曲げるから、少しだけ良心が痛む。正直、悩んだからね。やめるか、続けるかさ。
「そうそう、萌花から聞いたわ。明日からテストなんでしょ?今日は1時間研修であがっていいからね」
「え?」
「学生は学業を疎かにできないものね」
「あ、ありがとうございますっ!!」
疎かにはしたいけど、今はなんてありがたい言葉。本当に人は見た目で判断しちゃいけないよね。