一端 家に帰り、戻ってきたスウェット姿のイブは、少し不機嫌そうだ。
それは当たり前か。無理に頼み込んだんだから。だって、全然勉強してないし、明日もあのバイト先に行かなきゃいけないし。流石に、あかりや紗央に全ての写真を頼めないし。テスト明後日だし……。
「ううう、分からない」
「宿題から出るんだから、とりあえず暗記でいーだろ?」
なんて、リビングのコタツに直角に座るイブが息を吐いた。
「俺、数Aからやるから。芽生ちゃんは?」
「社会貸して!写しちゃう!」
「社会は明日にしとけば?」
「あ、そっか!じゃぁ、私も数A!真ん中置いてっ!」
「やりにくいんだけど…」
「丸ばっか。頭いーの?教えて」
「……普通だよ」
「えっ、でも20番には入ってるでしょ?」
「まぁ……」
「凄い凄ーい!」
「ねぇ、勉強しよう?」
「はーい……」
と、イブのちょっと強めの口調にシュンとなった。