「え?……は?」
「いや、正しくは"萌花"についてかな」
「……」
「僕は知っているよ」
「……」
「僕は、あいつと萌花と君の関係を知ってるよ」
え、何この人。イブの何を知ってるの?
まさかーー、イブと萌花が同一人物だって事を気付いてるの?
「証拠の写真だってあるんだよ」
この人が私のすぐ耳元でそう囁くから、心臓が止まるかと思った。
バスがクラクションを鳴らして通り過ぎる。
せっかく逃げられるチャンスだったのに、私は何で立ち止まってしまったんだろうか。
「……そんな、証拠なんてどこに」
家に送られてきた封筒に入っていた写真が脳内に思い出される。
もし、イブの秘密が知られてしまったら、周りの人はどんな反応をするのだろうか。
萌花とイブの顔が頭の中でぐるぐると回る。
おじさんとイブの関係は余計に悪くなるのかな。お母さんは何て思うのかな。
皆がイブを変な目で見るかもしれない。
イブの悲しい顔はもう見たくないのにーー。