バイトを復活して1週間がたとうとしていた。
このバイト生活の再開に慣れはじめてきた頃だった。



「あー、芽生ちゃん!久し振り!」

「あ、おかえりなさい……」

「バイトやめたかと思ってたよ、ははは」


そう言って、優しそうに笑顔を向けてくれるのは常連さんのタレ目のお兄さん。
少し驚いて、1歩下がってしまったことに後悔を覚える。

こんなに良い人を一瞬でも疑うなんて。


萌花に言わせれば"しょうがない。こっちだってお金貰って接客して夢与えてるようなものなんだから"との事。



「このケーキセット、コーヒーでよろしく」

「はい、かしこまりました!」


笑顔、笑顔。両手を口許に当ててにっこりと広角を上へあげた。

このバイトをまたやりたいと希望したのは自分だけど、改めて大変さを知る。

メニューも多いし、お客さんの顔もできるだけ覚えとかなきゃ失礼だし。ダンスも下手だって言われてるし。
流行りのアニメについていかなきゃだし。意外と流れが早いんだよね。