「おかえりなさいませ!」
ピンク色の店内にリンリーンと響き渡る鈴の音。高いトーンの女の子達の声を久々に聞くと、今までの生活との温度差に頭がクラクラしてしまう。
「芽生ちゃん、またよろしくね」
「は、はい」
「萌花と一緒に帰れるように、シフト一緒にしてあるから」
「店長、ありがとうございますっ!!」
なんて優しい店長。バイトの子達も快く受け入れてくれた。
母親との約束と私が不安なのもあり、制服の丈も膝ちょっと上に調整しつつ、フリルのついたメイド服を身にまとう。
歩くとスカートが揺れて足元がスースーするから、短めのスパッツも着用している。
お店のホールに出ると、まだ数組しか来ていないけどチラチラ目を向けられた。もしかしてこの中にアレを送ってきた人がいるんじゃないかって、足がすくむ。
「芽生ちゃん、頑張ろうね!」
でも、萌花が私の背中をポンと軽く叩くから、一気に体が軽くなった。