「芽生、何処に行くの?」
玄関で靴を履いていると、後ろから母親の声が耳に入る。
「えっと、ちょっとだけイブの家」
「5時には帰ってきなさいね」
「う、うん」
「あと、連絡はすぐ返すようにね」
仕方ないけど、あれから母親の干渉が多くなってきた。
小まめなメール、何処で何してるか、帰宅時間等、連絡は要必須。時には写真まで求められる位だ。
「男の力に敵わないから、連れ込まれたらおしまいだからね」
日曜の朝からイブの家に集まるのは、ストーカーに対する話し合い。
コタツに入って作戦会議が開始される。
「うん。お母さんも凄い心配してくれてて」
「そりゃそうでしょ。1人娘だし」
イブは目を擦り欠伸ばかりで、昨日も萌花はバイトだったんだろうな。