あの日から冬休みで、学校が長期の休みになったのは良かったのかもしれない。たったの2週間弱だけど。
休みの間は殆ど家でのんびり過ごして、遊びに出たのは地元の友達と初詣に行ったくらい。あかりもバイトが忙しそうで、紗央からは彼氏と上手くやってるって連絡きた。
バイト位すれば良かったかな。うん、そうしよう……。
そしてーー、冬休み明けの朝の出来事。
「あの、大井さん……」
家の前に待っていたのは、同じ学校のブレザーに身を纏う男子。白々しく名字に"さん"付けなんかで呼んでくるこいつの名前は青山伊吹あおやまいぶき。
同じ高校1年で、私が家政科でコイツ"イブ"は情報科と学科は別々だけど。家が隣で小さな頃から知っている私の幼馴染みでもある。
「お、おはよう」
人の顔色を伺うように、俯きながら上目使いで私に視線を向ける。まさに小動物のように体をビクビクとさせている。
「おはよ」
「……」
「……」
小学校を卒業してから、学校に一緒に行くことなんて無かったのに、待ち伏せをする理由なんて。思い当たることは1つしかないけど。