「大切はビジネスの接待にどこの誰かも知れない通訳なんて同席は許可出来ない」
そんなことを言われても私だって。
「琴美はフランス語が話せるはずだ」
「……っ」
「誤魔化しても知っている」
社長の厳しい視線。
「俺も、武藤も琴美が雑務課の時から、この役員フロアーで良く聴いていた」
今度は社長の余裕の笑顔。
「……でも、私は…」
「これは仕事だ、それもこの会社にとって大切な…、分かったな」
それでも私は!
「私は、通訳できる程の会話は出来ません!」
「それでも、やってもらう」
あーもう!何を言っても聞いて貰えない。
どうしたらいいのか分からず、拳に力ギュッと入れ、無言で部屋を出た。