『そうさせていただきましょう』

叶が言うのを聴いた後。低くくぐもった呻きと、何かが足許の方に倒れ込んだ衝撃があって。唐突に無音になった。

「・・・スズ」

あたしの頬に触れた指。いつもの甘くて優しい声。

「これでお終いだよ、ご苦労さま」

目隠しされたままで髪を撫でられて。

「すぐに片付けを済ませるからね」

まだ茫然としているあたしは時雨に抱き上げられた。足の運びで階段を昇っているのが判る。ということは、地下にいたのだ今まで。

あたしが下を窺うような仕草に、時雨の漏らし笑いが聴こえた。

「シアターサロンだよ、防音バッチリのな」