そしてあのひまわりの自画像のような笑顔を浮かべて彼女は告げた。
「サク君には前を向いてほしい。ずっと貴方の幸せを願っているわ」
どんどん私の中から宏海さんが消えていく。
ああ、これで本当に最後なのだ。二度と宏海さんは現れることができなくなるのだ。幽霊の姿で先生を見守ることもできなくなるのだ。
「───千尋ちゃん、サク君をよろしくね」
美術準備室に宏海さんの声が響く。
そして同時に私の身体から完全に消えていった。
すっと体が軽くなる。
私たちの前から本当に宏海さんはいなくなってしまった。
それでも私の目からも、先生の目からも、涙は溢れ出す。
どうして神様は二人を引き離したのだろう。
あの事故がなければ彼女たちは今頃幸せで溢れた毎日を送っていたはずなのに。