そう。今日は、ホワイトデー。

先輩にお返しをするために、お家デートをしているのだ。

……最初はバレンタインのお返しとして、何かプレゼントをしようと思っていたのだが。

『ねぇ、悠希』

放課後。いつものように帰っていると、唐突に先輩が言った。

『ホワイトデーって何かお返ししようと思ってる? ……あ、いや、催促じゃなくてね!? も、もしお返し考えてくれてるなら……』

――プレゼントじゃなくて、一日中悠希を好きに出来る権利が欲しい。

彼女は、そう言った。

『え、いいですよ?』

俺は、二つ返事でOKを出す。むしろ、大歓迎。

先輩にあれこれ頼まれるなんて、ご褒美ですか……?

そんなことを考えていた俺に、先輩はちょっと恥ずかしそうに、ボソッと呟いた。