「まあまあ! 気を遣わせてごめんなさいね。ありがとう」

にこにことしている母親が、いそいそとリビングの方へ小包を置きにいったのを見計らい、俺はさっさと部屋に入ってしまうことにした。

「母さん、俺たち部屋にいるから。……、くれぐれも邪魔しないでくれよ」

「ふふ。分かってるわよ」

分かってないな、あれ。

上機嫌な声に、内心一抹の不安を覚えながら、二階へ続く階段を上がる。

「先輩。こっちです」

「……あ、うん」

二階に入って自室に入ると、はぁ、とため息が出た。

「……ごめんなさい。母さんには出来るだけ出しゃばらないで、って言っておいたんですけど……」

「え、いやいや、お家にお邪魔させてもらうんだから、ちゃんとご挨拶したかったし、全然大丈夫」

「……それなら良かったです」

俺は、彼女の返答に安堵のため息を漏らす。

……まさかいきなり母さんが出てくるなんて思わなかった。心臓に悪いから止めてほしい。