「本当に大丈夫です。俺は元気ですよ？」

元気なのが先輩に伝わるように、にこ、と精一杯笑ってみる。

「……」

黙られてしまった。

急に神妙な顔になったけどどうしたんだろう。

「あ～もう、ホント悠希は……っ！」

「……？　どうしましたか？」

「何もないから！」

先輩が神妙な顔をする時はいつもこう言うけど、本当に何もないのか心配だ。

現に顔が少し赤い。気分が悪いのは先輩なのではないだろうか。

「……先輩？」

「……あっ！　悠希。も、もう目的地に着くんじゃないの？」

あからさまな話題転換。

……これ以上追求しないでってことですか。

いいでしょう。今は聞かないであげますよ、今は。