ゲームを変え、排水管工事の赤のおじさんが桃色のお姫様を助けに行くゲームをしていた時。

「先輩!? ダメです、死んじゃう……っ!」

「えっ? あ~~っ!」

画面に『Game Over』の文字が踊る。

もう一回やりましょう、と彼女を慰めようとした時だった。

「……て、って」

ポツリと呟かれた言葉。

聞き取れなくて、聞き返す。

「先輩、何て――」

「杏里って、言って」

むっとした顔で、上目遣いにこちらを睨んでいる先輩。

正確に彼女の言わんとしていることを理解した瞬間、俺の思考は停止した。