そんな俺の願い虚しく、姉は再び口を開く。

「え、ぶっちゃけ、悠希大丈夫? 本当に苦労かけてない?」

「そんなことないです! 森下くんは、部活でもマネージャーを気遣ってくれたり、優しいんですよ?」

そう言って姉に俺がどれだけ凄いか自慢しだす先輩。

対抗するようにどれだけ弟が抜けているかを話す姉。

……本人いるんですけど。

俺を蚊帳の外にして盛り上がる二人。

自身の自慢をしている人と黒歴史を暴露している人、その間にいる俺。

いたたまれなくて、じろりと睨む。

「……姉貴、先輩」

そう声を掛ければ、二人してはっとした顔になって俺を見た。

「ああ、ごめんごめん」

「……悠希。ごめん忘れてた」