「こんにちはー」

「……こんにちは?」

入って来たのは、髪を後ろで束ねた瘦身の女性。手にはお盆を持っている。

この人は? というような目で俺を見てくる先輩に、俺は「姉です」と答えた。

「はい、これ。飲み物とおやつ。どうぞー」

「あ、ありがとうございます」

お盆から、コップとお皿に乗ったおやつをテーブルに置いた姉。

姉は置いた後も立ち去らず、そそくさと自分で座布団を持ってきて座る。

……長居する気か。

ジト目になった俺の視線を受け流し、喜々として姉は先輩に話しかける。

「貴方が小宮(こみや)さん? うちの弟がお世話になってます」

「いえ。こちらこそ、森下(もりした)くんにはお世話になりっぱなしで」

その言葉に、姉は「ふーん?」とニヤッとした笑みを浮かべて俺を見る。

無言なのに、「あんたにそんな甲斐性あったんだー笑」とでも言わんばかりの、非常に腹の立つ顔である。

……もう、帰ってくれ。