「おはようございます、田中さん。今日は受持ちさせていただきます!」
よろしくお願いしますね、と雛子は最大限の笑みで好感度を狙いに行く。五日前に入院してから、ナースコール対応で何度か顔は合わせている。
「……」
田中は、ここ最近の暑さで熱中症を発症し救急搬送されてきた七十代の女性だ。恭平によると、毎年五月頃から熱中症患者がちらほらと増え始めるらしい。
幸い軽症で済んだ田中は、既に点滴も抜けており明日の退院を待つのみである。
やることと言えば検温と入浴くらいで、その入浴も本人の足腰がしっかりしているため声をかける程度である。
「パス」
雛子は七十代の老婆が使った横文字の意味が、一瞬理解できなかった。
「あんたはパス! あたしの恭平はどこ行ったんだい!」
田中はベッドの上でお茶を啜っていた手を止め、オーバーテーブルを叩きながらそう捲し立てた。
「ちょっ……田中さん、落ち着いてくださっ……うあぁぁぁっ!?」
突如、背後から音もなく恭平が現れ、雛子は悲鳴を上げる。
「さ、ささ、桜井さんっ……」
バクバクと音を立てる胸元に片手を当てながら、雛子は目を瞬かせる。
「恭平〜!」
対する田中は、先程と打って変わって乙女の顔になっていた。
「来てくれたのね! あたしはあんた無しじゃダメな女になったのよ!」
「田中さん、俺もサブで付きますよ」
恭平は真顔で田中の両手を取ると、力を込めて握りしめ、顔を近づけ瞳を覗き込む。
「田中さん、顔が赤い……。はっ……もしや熱が? いけない、すぐに熱を測りましょう」
至極真面目な顔で力強くそう宣う恭平。そして無言のまま顎で次の台詞促される。
「……えっ、私!? は、はいっ! お熱を測りましょう!」
恭平のフリに、雛子は咄嗟に体温計を両手で差し出す。
「何差し出してんだい! あんたが測るんだよ!」
「ははあっ! ではわたくしめがお熱を測らせていただきます!」
「分かりゃあ良いんだよ、分かりゃあ」
何だかよく分からないが田中はご満悦である。ひとまず検温が済めば仕事の大半は終わったようなものだ。
「では、我々はまたあとで伺いますね」
スライド式の病室のドアが閉まったのを確認し、雛子はようやく顔の力を緩めて深い息を吐いた。
「……俺、親より年上の熟女は射程範囲外なんだよな」
「誰も聞いてませんよそんなこと! っていうか射程範囲って何ですかそれっ! 」
全くもってどこから突っ込めば良いのやら分からない。恭平は分かりにくいながらもややげんなりとした顔をしているが、こっちの方こそ疲れたと雛子は叫びたい。
「まぁ田中さん自身は悪い人じゃないし、話し相手でもしてあげて」
あれでも入院したことに落ち込んでて不安なんだよ、あの人。と口元だけで僅かに笑う恭平。
「にしても、毎回あんな寸劇を……」
雛子が不満を口にしようとしたその時。
ジリリリリリ────。
不意にPHSが耳障りな音を立てる。ナースコールの柔らかな音楽と違い、けたたましいベル音はステーション内にあるセントラルモニターのアラームと連動している。
「っ……!」
PHSに表示された部屋番号を見た瞬間、恭平の表情が変わった。同じように自分の持つPHSを見ていた雛子は、恭平の変化に気づかない。
「小林さんのモニターですね。私ちょっと様子見て……って桜井さん!?」
「救急カート持ってきて! あとリーダーに伝えてドクターコール!」
「へっ!? は、はいっ!」
恭平は既に小林の元へ走りながら、振り向きざまに雛子へと叫ぶ。
混乱しながらも、雛子は言われた通りリーダーに伝え救急カートを押して走る。
「桜井さん! 救急カート持ってきました!」
雛子が病室に到着すると、窓際のベッドの上で患者に馬乗りになった恭平が心肺蘇生を行っていた。同室の患者達が、不安げな表情で遠巻きにそれを見守っている。
「アンビュー酸素に繋いで!!」
ありったけの力で胸骨圧迫をしながら恭平が叫ぶ。
雛子のすぐ後ろを走ってきた別の看護師が、救急カートから必要なものを取り出し恭平の指示に従う。
狼狽える雛子を押し退けて何人もの看護師が駆け付け、医師の到着に備えてテキパキと環境を整えていく。
「邪魔です! 突っ立ってるだけなら出てってください!」
そう背後で怒鳴られたのと、身体を勢いよく突き飛ばされたのはほぼ同時だった。
(っ……!?)
たたらを踏んで何とか持ちこたえた雛子の横を、白衣の男性が横切る。
(あれっ……この人……)
その真剣な横顔に、雛子の胸は強く鼓動する。
鷹峯柊真。
白衣に付けられたネームプレートが、一瞬だけ目に止まった。
『この患者、たかみーが主治医だからな……』
恭平の呟きを思い出す。
(あ、鷹峯先生!?)
カルテでは時々見かける名前だが、イメージしていたよりもずっと若い医師だった。研修医と言われても違和感なく、どんなに上に見積っても三十台前半だろう。
「波形は!?」
「VFです!」
「DC150でチャージ! その間にアドレナリン用意して! ショックかけて二分後波形確認します!」
「はい!」
鷹峯の的確な指示で現場の士気が高まる。その中でも恭平は、いつもと変わらない冷静な表情で無駄な動き1つない。
(すごい……桜井さんも、皆さんも……)
突然、場違いなほど穏やかなクラシック音楽がスタッフ達のPHSから一斉に流れ出す。
何も出来ずに遠巻きに見ているだけの雛子を、一学年上の原つばきがつつく。
「ナースコール、雨ちゃん対応して来てっ」
コールは受け持ちの田中からだった。
「は、はいっ…」
雛子は原に頷き、田中の元へ向かった。
「何よ〜もぅ〜。恭平じゃなくてあんたが来たのかいっ?」
「はい、まあ」
何も知らない田中が、先程と変わらない調子で雛子に話しかける。
「なぁんか病室に一人でいると暇でねぇ。あ、ちょっと冷蔵庫から水取ってくれる?」
言われるがまま、雛子は冷蔵庫から取り出したペットボトルを渡す。
「何さあんた、『自分で取れるでしょ〜』とか言わないのかい? 気味悪いねぇ」
「はぁ」
それから田中の世間話を聞いている最中、雛子は心ここに在らずのままだった。
一時は心肺停止寸前にまでなった小林がICUに運ばれて行くまで、実質三十分程度だっただろうか。
そこから片付けやベッド移動の調整を行い、結局雛子が再び恭平と話せたのはそこから更に三十分経ってからだった。
「桜井さん、お疲れ様でした」
休憩室で恭平と二人きり、雛子は労いの言葉をかける。
「おう。救急カートありがとな」
恭平の大きな掌が、雛子の頭にそっと乗せられる。そのままポンと一回撫でられ、雛子はしゅんと俯く。
「いえ、私は何も……」
悔しいと思った。
ただ見ていただけの自分に。
「邪魔」と突き飛ばされた自分に。
こうして、まるで子どもみたいに頭を撫でられている自分に。
「新人でこんな場面は誰でも緊張するだろ。最初はそんなもんだ」
雛子の心情を察してか、恭平が困ったように表情を緩める。
「そういえば今朝……。あの時、どうして急に受け持ちを変えたんですか?」
もしあのまま雛子が受け持ちをしていれば、あのような緊急事態にうまく対応できなかっただろう。恭平の冷静な対応は、まるで今日のことを予期していたかのようにも思えた。
「ああ、それは……ん?」
恭平は何かに気付いたように言葉を切り、突然くい、と人差し指で雛子の顎を持ち上げた。
「はわっ……え、何ですかっ?」
恭平の端正な顔が近付いてくる。雛子は顔に熱が集まるのを感じた。
「……ここ、ニキビ出来てる。ひなっち勉強のし過ぎじゃない? ちゃんと寝てる?」
「だ、大丈夫ですよっ!」
雛子の返事に、恭平は納得したのか無表情のまま頷いて離れる。
「そう。なら良いけど」
休憩室の扉がノックされ、少しだけ開けた隙間から大沢が恭平を呼んだ。
「休憩中に悪いんだけど、ちょっと良い? さっきの小林さんのことで」
恭平は「はーい……」とやや面倒くさそうに返事をして休憩室から出ていく。扉の向こうで、「しゃきっと返事しろ!」と大沢の怒鳴る声が聞こえる。
雛子の頬は熱いままだった。温度を下げるように、両掌で顔を扇ぐ。
(それにしても鷹峯先生、テキパキ指示出してて凄かったなー。結構若そうに見えたけど、幾つなんだろう?)
雛子は先程初めて見た鷹峯の横顔を思い浮かべる。
恭平と同じくらい背が高く、ワイシャツとネクタイの上に羽織った白衣が様になっていた。鋭く射抜くような眼差しは、真っ直ぐ患者に向けられていた。
(似てる……)
雛子の胸の中に、とある人物の面影が浮かぶ。はっきりとは覚えていないが、昔雛子を助けてくれた命の恩人の姿だ。
その人物に、鷹峯は似ている気がした。
「って、ないない! 九年も前じゃ、先生まだ学生かもだし……他人の空似かなぁ?」
思わず声に出して否定する。
(そんなことより、なんか今日は臨場感のある医療の現場を見たって感じ。私も落ち込んでる場合じゃないっ。 ああいう場面でも対応できるように頑張らないと!)
よろしくお願いしますね、と雛子は最大限の笑みで好感度を狙いに行く。五日前に入院してから、ナースコール対応で何度か顔は合わせている。
「……」
田中は、ここ最近の暑さで熱中症を発症し救急搬送されてきた七十代の女性だ。恭平によると、毎年五月頃から熱中症患者がちらほらと増え始めるらしい。
幸い軽症で済んだ田中は、既に点滴も抜けており明日の退院を待つのみである。
やることと言えば検温と入浴くらいで、その入浴も本人の足腰がしっかりしているため声をかける程度である。
「パス」
雛子は七十代の老婆が使った横文字の意味が、一瞬理解できなかった。
「あんたはパス! あたしの恭平はどこ行ったんだい!」
田中はベッドの上でお茶を啜っていた手を止め、オーバーテーブルを叩きながらそう捲し立てた。
「ちょっ……田中さん、落ち着いてくださっ……うあぁぁぁっ!?」
突如、背後から音もなく恭平が現れ、雛子は悲鳴を上げる。
「さ、ささ、桜井さんっ……」
バクバクと音を立てる胸元に片手を当てながら、雛子は目を瞬かせる。
「恭平〜!」
対する田中は、先程と打って変わって乙女の顔になっていた。
「来てくれたのね! あたしはあんた無しじゃダメな女になったのよ!」
「田中さん、俺もサブで付きますよ」
恭平は真顔で田中の両手を取ると、力を込めて握りしめ、顔を近づけ瞳を覗き込む。
「田中さん、顔が赤い……。はっ……もしや熱が? いけない、すぐに熱を測りましょう」
至極真面目な顔で力強くそう宣う恭平。そして無言のまま顎で次の台詞促される。
「……えっ、私!? は、はいっ! お熱を測りましょう!」
恭平のフリに、雛子は咄嗟に体温計を両手で差し出す。
「何差し出してんだい! あんたが測るんだよ!」
「ははあっ! ではわたくしめがお熱を測らせていただきます!」
「分かりゃあ良いんだよ、分かりゃあ」
何だかよく分からないが田中はご満悦である。ひとまず検温が済めば仕事の大半は終わったようなものだ。
「では、我々はまたあとで伺いますね」
スライド式の病室のドアが閉まったのを確認し、雛子はようやく顔の力を緩めて深い息を吐いた。
「……俺、親より年上の熟女は射程範囲外なんだよな」
「誰も聞いてませんよそんなこと! っていうか射程範囲って何ですかそれっ! 」
全くもってどこから突っ込めば良いのやら分からない。恭平は分かりにくいながらもややげんなりとした顔をしているが、こっちの方こそ疲れたと雛子は叫びたい。
「まぁ田中さん自身は悪い人じゃないし、話し相手でもしてあげて」
あれでも入院したことに落ち込んでて不安なんだよ、あの人。と口元だけで僅かに笑う恭平。
「にしても、毎回あんな寸劇を……」
雛子が不満を口にしようとしたその時。
ジリリリリリ────。
不意にPHSが耳障りな音を立てる。ナースコールの柔らかな音楽と違い、けたたましいベル音はステーション内にあるセントラルモニターのアラームと連動している。
「っ……!」
PHSに表示された部屋番号を見た瞬間、恭平の表情が変わった。同じように自分の持つPHSを見ていた雛子は、恭平の変化に気づかない。
「小林さんのモニターですね。私ちょっと様子見て……って桜井さん!?」
「救急カート持ってきて! あとリーダーに伝えてドクターコール!」
「へっ!? は、はいっ!」
恭平は既に小林の元へ走りながら、振り向きざまに雛子へと叫ぶ。
混乱しながらも、雛子は言われた通りリーダーに伝え救急カートを押して走る。
「桜井さん! 救急カート持ってきました!」
雛子が病室に到着すると、窓際のベッドの上で患者に馬乗りになった恭平が心肺蘇生を行っていた。同室の患者達が、不安げな表情で遠巻きにそれを見守っている。
「アンビュー酸素に繋いで!!」
ありったけの力で胸骨圧迫をしながら恭平が叫ぶ。
雛子のすぐ後ろを走ってきた別の看護師が、救急カートから必要なものを取り出し恭平の指示に従う。
狼狽える雛子を押し退けて何人もの看護師が駆け付け、医師の到着に備えてテキパキと環境を整えていく。
「邪魔です! 突っ立ってるだけなら出てってください!」
そう背後で怒鳴られたのと、身体を勢いよく突き飛ばされたのはほぼ同時だった。
(っ……!?)
たたらを踏んで何とか持ちこたえた雛子の横を、白衣の男性が横切る。
(あれっ……この人……)
その真剣な横顔に、雛子の胸は強く鼓動する。
鷹峯柊真。
白衣に付けられたネームプレートが、一瞬だけ目に止まった。
『この患者、たかみーが主治医だからな……』
恭平の呟きを思い出す。
(あ、鷹峯先生!?)
カルテでは時々見かける名前だが、イメージしていたよりもずっと若い医師だった。研修医と言われても違和感なく、どんなに上に見積っても三十台前半だろう。
「波形は!?」
「VFです!」
「DC150でチャージ! その間にアドレナリン用意して! ショックかけて二分後波形確認します!」
「はい!」
鷹峯の的確な指示で現場の士気が高まる。その中でも恭平は、いつもと変わらない冷静な表情で無駄な動き1つない。
(すごい……桜井さんも、皆さんも……)
突然、場違いなほど穏やかなクラシック音楽がスタッフ達のPHSから一斉に流れ出す。
何も出来ずに遠巻きに見ているだけの雛子を、一学年上の原つばきがつつく。
「ナースコール、雨ちゃん対応して来てっ」
コールは受け持ちの田中からだった。
「は、はいっ…」
雛子は原に頷き、田中の元へ向かった。
「何よ〜もぅ〜。恭平じゃなくてあんたが来たのかいっ?」
「はい、まあ」
何も知らない田中が、先程と変わらない調子で雛子に話しかける。
「なぁんか病室に一人でいると暇でねぇ。あ、ちょっと冷蔵庫から水取ってくれる?」
言われるがまま、雛子は冷蔵庫から取り出したペットボトルを渡す。
「何さあんた、『自分で取れるでしょ〜』とか言わないのかい? 気味悪いねぇ」
「はぁ」
それから田中の世間話を聞いている最中、雛子は心ここに在らずのままだった。
一時は心肺停止寸前にまでなった小林がICUに運ばれて行くまで、実質三十分程度だっただろうか。
そこから片付けやベッド移動の調整を行い、結局雛子が再び恭平と話せたのはそこから更に三十分経ってからだった。
「桜井さん、お疲れ様でした」
休憩室で恭平と二人きり、雛子は労いの言葉をかける。
「おう。救急カートありがとな」
恭平の大きな掌が、雛子の頭にそっと乗せられる。そのままポンと一回撫でられ、雛子はしゅんと俯く。
「いえ、私は何も……」
悔しいと思った。
ただ見ていただけの自分に。
「邪魔」と突き飛ばされた自分に。
こうして、まるで子どもみたいに頭を撫でられている自分に。
「新人でこんな場面は誰でも緊張するだろ。最初はそんなもんだ」
雛子の心情を察してか、恭平が困ったように表情を緩める。
「そういえば今朝……。あの時、どうして急に受け持ちを変えたんですか?」
もしあのまま雛子が受け持ちをしていれば、あのような緊急事態にうまく対応できなかっただろう。恭平の冷静な対応は、まるで今日のことを予期していたかのようにも思えた。
「ああ、それは……ん?」
恭平は何かに気付いたように言葉を切り、突然くい、と人差し指で雛子の顎を持ち上げた。
「はわっ……え、何ですかっ?」
恭平の端正な顔が近付いてくる。雛子は顔に熱が集まるのを感じた。
「……ここ、ニキビ出来てる。ひなっち勉強のし過ぎじゃない? ちゃんと寝てる?」
「だ、大丈夫ですよっ!」
雛子の返事に、恭平は納得したのか無表情のまま頷いて離れる。
「そう。なら良いけど」
休憩室の扉がノックされ、少しだけ開けた隙間から大沢が恭平を呼んだ。
「休憩中に悪いんだけど、ちょっと良い? さっきの小林さんのことで」
恭平は「はーい……」とやや面倒くさそうに返事をして休憩室から出ていく。扉の向こうで、「しゃきっと返事しろ!」と大沢の怒鳴る声が聞こえる。
雛子の頬は熱いままだった。温度を下げるように、両掌で顔を扇ぐ。
(それにしても鷹峯先生、テキパキ指示出してて凄かったなー。結構若そうに見えたけど、幾つなんだろう?)
雛子は先程初めて見た鷹峯の横顔を思い浮かべる。
恭平と同じくらい背が高く、ワイシャツとネクタイの上に羽織った白衣が様になっていた。鋭く射抜くような眼差しは、真っ直ぐ患者に向けられていた。
(似てる……)
雛子の胸の中に、とある人物の面影が浮かぶ。はっきりとは覚えていないが、昔雛子を助けてくれた命の恩人の姿だ。
その人物に、鷹峯は似ている気がした。
「って、ないない! 九年も前じゃ、先生まだ学生かもだし……他人の空似かなぁ?」
思わず声に出して否定する。
(そんなことより、なんか今日は臨場感のある医療の現場を見たって感じ。私も落ち込んでる場合じゃないっ。 ああいう場面でも対応できるように頑張らないと!)