「……覚えてる? それが、私達が初めて出会った瞬間だった」

「ああ……」

真理亜は冷蔵庫から取り出した缶ビールを一本恭平に渡しながら、懐かしそうに微笑む。その表情はどことなく虚ろだった。

「恭平ってばすっごく無表情で……あんまり堂々としてるから、唯が女慣れした変な男に騙されてると思って最初は警戒したなぁ」


真理亜は恭平の横に腰を下ろすと、「乾杯」と言って缶ビールのプルタブを開けた。