そう。
俺達は、そういう役割分担なのである。
「忘れてないでしょうね?あなたの『ポジション』」
「勿論…覚えてますよ」
苦笑いで答えるルーシッド。
ふふ、それなら宜しい。
これは俺が作った、厳正なる(当社比)あみだくじによって、公平に決められた結果だ。
俺とルーシッドは、学部は違えど、二人で『ルティス帝国を考える会』に入会する。
折角二人なのだから、二人いるメリットを充分活かすべきだ。
故に、俺達は二つの役割に分かれることにした。
そうすることで、『考える会』のサークルメンバーの反応を見ようと思ったのだ。
一人は、この論文にある通り、サークルの指針に従い、共産主義的思考を全面的に押し出していく。
これは、俺の役目だ。
王制反対!貴族制も反対!帝国騎士団爆発しろ!共産主義万歳!が、俺の主張。
この論文にある通りだ。
論文をもらってきたのは、正解だったな。
俺はあくまで、このサークルメンバーの考え、方針に従順であるつもりだった。
論文を読めば、この『考える会』のメンバーがどういう考えを持っているかが、よく分かる。
成程ね、この考えに従っていれば良い訳だ。
一方のルーシッドの役割は、俺とは真逆だ。
ルーシッドには、王制賛成派、かつ徹底した資本主義者でいてもらう。
つまり、サークルの指針に反する意見を主張してもらう。
あの会が、反対意見をも尊重し、互いに主張の違う者同士の議論を楽しめるグループであれば良いのだが。
そうでなければ、ルーシッドはただのはみ出し者、鼻つまみ者になるってことだな。
俺としては後者の方が見ていて面白いので、ルーシッドには、是非鼻つまみ者になって頂きたいところだ。
この論文を読む限りでは、ルーシッドの意見が尊重されそうな気配は、今のところ全くないがな。
…まぁ、とはいえ。
「一応、ルティス帝国で一番って言われてるほどの大学ですからね。自分達と意見が違うからって、露骨にあなたを異端者扱いはしないと思いますよ」
「…そうだと良いんですが」
「パンフレットに書かれてるサークル規約を見ても、『共産主義者以外の学生入会禁止』とは書いてませんし。サークルメンバーも、小学生や中学生のガキじゃないんだから、自分と意見が違う者がこの世にいることくらい、分かってるでしょう」
大体、名目上は『ルティス帝国を考える会』なんだから。
現状維持という意見があったって、何ら不思議ではない。
それくらいのことが分からない馬鹿が、ルティス帝国総合大学に入学出来る訳ないだろうし…。
「…あの」
「あん?」
ルーシッドが、控えめに声をかけてきた。
…何だ、このガキ。
俺達は、そういう役割分担なのである。
「忘れてないでしょうね?あなたの『ポジション』」
「勿論…覚えてますよ」
苦笑いで答えるルーシッド。
ふふ、それなら宜しい。
これは俺が作った、厳正なる(当社比)あみだくじによって、公平に決められた結果だ。
俺とルーシッドは、学部は違えど、二人で『ルティス帝国を考える会』に入会する。
折角二人なのだから、二人いるメリットを充分活かすべきだ。
故に、俺達は二つの役割に分かれることにした。
そうすることで、『考える会』のサークルメンバーの反応を見ようと思ったのだ。
一人は、この論文にある通り、サークルの指針に従い、共産主義的思考を全面的に押し出していく。
これは、俺の役目だ。
王制反対!貴族制も反対!帝国騎士団爆発しろ!共産主義万歳!が、俺の主張。
この論文にある通りだ。
論文をもらってきたのは、正解だったな。
俺はあくまで、このサークルメンバーの考え、方針に従順であるつもりだった。
論文を読めば、この『考える会』のメンバーがどういう考えを持っているかが、よく分かる。
成程ね、この考えに従っていれば良い訳だ。
一方のルーシッドの役割は、俺とは真逆だ。
ルーシッドには、王制賛成派、かつ徹底した資本主義者でいてもらう。
つまり、サークルの指針に反する意見を主張してもらう。
あの会が、反対意見をも尊重し、互いに主張の違う者同士の議論を楽しめるグループであれば良いのだが。
そうでなければ、ルーシッドはただのはみ出し者、鼻つまみ者になるってことだな。
俺としては後者の方が見ていて面白いので、ルーシッドには、是非鼻つまみ者になって頂きたいところだ。
この論文を読む限りでは、ルーシッドの意見が尊重されそうな気配は、今のところ全くないがな。
…まぁ、とはいえ。
「一応、ルティス帝国で一番って言われてるほどの大学ですからね。自分達と意見が違うからって、露骨にあなたを異端者扱いはしないと思いますよ」
「…そうだと良いんですが」
「パンフレットに書かれてるサークル規約を見ても、『共産主義者以外の学生入会禁止』とは書いてませんし。サークルメンバーも、小学生や中学生のガキじゃないんだから、自分と意見が違う者がこの世にいることくらい、分かってるでしょう」
大体、名目上は『ルティス帝国を考える会』なんだから。
現状維持という意見があったって、何ら不思議ではない。
それくらいのことが分からない馬鹿が、ルティス帝国総合大学に入学出来る訳ないだろうし…。
「…あの」
「あん?」
ルーシッドが、控えめに声をかけてきた。
…何だ、このガキ。


