「もっと飲みたいの?」
「うん…ちょうだい」
 とオレの持っている缶酎ハイを指差した。
「いいよ」
 オレは缶の中に残ったぶどうの酎ハイを口に含み、羽澄に覆いかぶさった。
 そして唇を押し当て、口の中に酎ハイを流し込む。
「ん…」と羽澄が飲み込んだのを確認し、顔を少し離して
「美味しい?」
 と意地悪く聞くと、トロンとした瞳で「うん。」て頷いた。
「じゃあ、一口だけ上げる」
 また口移しで飲まし、今度は両手で頬を包み込み、そのまま羽澄の唇をオレが味わった。
「んー…ん」と吐息を漏らすごとに深く、深く。
 熱い羽澄の咥内を味わい続ける内に、再び酔いが回ってきたみたいに、頭がクラクラしてきた。

 羽澄の背中に片腕を回し、ちょっと力をかけるだけで、床に倒せた。
 
 口付けを頬、首筋、鎖骨とそっとずらしながら、頬を包んでいた右手の位置を胸へと移動さすと
 「はぁ…」新たな吐息を漏らすから、拍車がかかる、再び唇を奪いながら、羽澄の着ていたTシャツを捲くりあげた。

 羽澄が急に右手でオレの頬に触れた。
 丁度、ブラジャーを上にずらそうと手を掛けたときで、ハッとオレは唇を離した。
 顔を覗き込むと、トロンと目はしたまま、頬がますます紅潮して
「ダ…めっぇ。」と囁いた。
 そんな、ダメを聞く男なんてこの世に居る分けない。
 途中だった作業を構わず続け、露わになった柔らかな丘に顔を埋めた。
「あ…んっ」と背中を仰け反らすから、興奮が止まらない。
 口に含んだ瞬間、両手でオレの頭んだ。目だけで羽澄の顔を見ると
「それ、やぁ。だめ…。」と口から抗議の言葉を漏らすのに、羽澄の両手はオレの頭をそこに押し付ける。
 
 嘘まじりの抗議をし続ける口を、唇で塞ぎ、羽澄のもっとも熱い場所に手を伸ばした。下着の上からでも、溢れるばかりの潤いが、ますます誘う。

 もう止まれない。

 理性なんてものはとっくになかった。



 満月の夜は嫌いだ。
 カナを思った夜は寂しさが募る。

 人肌が恋しくて恋しくて―

 その場限りの温もりを求めて、
 朝に一人になると余計に虚しくなった。

 虚しくなるのに、一時の温もりを離せない。