『じゃ、自転車でお届けにいきます』

 これまた予想外なことを羽澄がいうので、驚いてしまった。
「まっまって、今夜中なんだよね。危ないから、今来なくて。」
『んー・・・わかりました。三浦先輩の家の近くにコンビニありますよね?私いつもそこ行くんです。だからそこまで来てもらえると安心です』
「コンビニって4丁目の?」
『はい。夜中も行くんですよ。じゃ、いまから出ますね。』

 電話がオレの返事も聞かずに切れた。
 
 ―今からって、マジで?

 電話をポケットにしまい這って玄関へむかって、スニーカーに足をつっこんだ。
 立ち上がったら、絶対に倒れる自信100パーセントってところだが、仕方ない。
「せーのっ」掛け声で景気をつけて立ち上がった。やはり、グラっと目の前が真っ暗に覆われた。「1,2,3、」と3秒数えてから目を開けると、なんとか普通に玄関ドアを見ることが出来たので、ノブを回し外へ駆け出した。

 走るなんて、なんて無謀なことしてんだかってこっそり、つっこんでしまった。


 ま、30メートルも走った所で限界を感じ歩いたけれど。