結局、目がさえちゃって寝れなかった…。
私は顔を洗い化粧を軽くして、再び大広間に向かう。

「姫、おはようございます。」

「おはようございます!!晶さん、翔ちゃんは?」

何とか明るく挨拶をする。
我ながら、ギコチナイ笑み。

「若は今、親父のところです。今日のパーティーのことで話をしに行っています。」

パーティーか。
翔ちゃんは仕事の傍ら、成人の儀の準備もしている。

毎日忙しいなぁ…。

朝御飯の支度を手伝っていると、大広間の扉が荒々しく開いた。

「…疲れた。…おい晶、飯。」

イライラしながら椅子に座ったのは、

清宮 翔樹。

ここ、清宮組の若頭である。

顔が整いすぎてるのは両親譲り。
背はスラッとしていて、銀の髪をなびかせる。

美しすぎて、眩しい…。

「若、ただいまお持ちいたします。」

さっき私に挨拶をして来た、物腰柔らかな人は、二階堂 晶。

清宮組の幹部で、翔ちゃんの右腕。

今は、清宮家に使えているから敬語だけど、昔は凄く口が悪かった。まぁ、今でもそれは健在なんだけれど。

「若、今日は何時ごろ行かれますか?」

「あぁ、夕方の6時頃だ。」

そんな話をしていると、部屋の扉が再び開いた。

「姫、若、おはようございます。」

パソコンを持ちながら大広間に入ってきたのは、倉持 慶一郎。

清宮組の情報参謀。
情報管理やハッキングに関しては、清宮で右に出るものはいないほどの力の持ち主。

食事の準備をしていると、後ろに軽く引っ張られ、抱きつかれた。

「おっはよー姫!今日も可愛ぇなぁ!」

この明るすぎる人は、田川 礼。
清宮組の下っ端を育てたり纏める立場で、喧嘩っぱやいの。優しいんだけど、綺麗な顔して恐ろしい人なの。

切れると、翔ちゃんと昌さん、慶ちゃんしか止められなくて大変。

「おはよう!慶ちゃん、礼ちゃん!」

自分で言うのもなんだけど、この人たちは私のことを大切にしてくれている。

学生の時も、鬼龍の総長、幹部として私のそばにいてくれた。
私が不安にならないようー…。

心を開ける場所を作れた私は、この人たちのために前を向こうと心に決めたのだ。

この人たちといると、凄く安心するんだ。